読書感想文:『陰キャの僕に罰ゲームで告白してきたはずのギャルが、どう見ても僕にベタ惚れです』1巻【書評・ラノベ】
『陰キャの僕に罰ゲームで告白してきたはずのギャルが、どう見ても僕にベタ惚れです』1巻はどんなラノベ?
HJ文庫公式サイトより引用
陰キャの陽信くんが、クラスのギャル・七海ちゃんに告白されてお付き合いすることに。しかし、それは罰ゲームの告白だった。
84点 ★★★★★★★★☆☆
『陰キャの僕に罰ゲームで告白してきたはずのギャルが、どう見ても僕にベタ惚れです』1巻を読んでみた!(※ネタばれあり)
ラノベに用いられる定番カタルシスの1つに「主人公の行動が、ぜんぶ良いほうに転がる」というのがあります。
この『陰キャの僕に罰ゲームで告白してきたはずのギャルが、どう見ても僕にベタ惚れです』は、この定番がぎっしり詰まった気持ちいいラノベでした!
バスケ先輩に絡まれたり、街でナンパに絡まれたり、ヒロイン親に見つかったりが、どれも修羅場にならずに、ぜんぶ主人公・陽信くんの無双に転化してしまうカタルシスは、読んでてダメになりそうな気持よさ。
中でもとくに良かったのが、ネット仲間バロンさんのアドバイス群です。
「女子は視線に敏感だから、胸や脚じゃなくてちゃんと目を見る」
「待ち合わせには早く行く。相手を軽んじてると思われないために」
「モテる女性は日々の努力を欠かしてないから、服や髪型を具体的に褒める」
うんうん、そういうの大事だよね!
ちゃんと理由も説明してるところがステキ。
そのアドバイスを陽信くんが真面目に実践する様子が、ちゃんと描写されてるのがいいです。
人のアドバイスを丁寧に咀嚼して素直に実践する「いい子だな」って思います。だから、アドバイスがズバズバ大当たりすることを「ご都合主義」とは思わないんですよね!
「ズバズバ大当たり」自体は、おもに七海ちゃんの視点で語られています。こういうふうに、別キャラ視点で主人公の無双が語られるやつ、大好物です。
『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢い転生してしまった』や『本好きの下剋上』の得意技ですね。
陽信くんが、いっぱいいっぱいになりつつ、アドバイスを実践していた言動が、七海ちゃん視点では、王子様かなって勢いで好感度が爆上がってる。この構図が心地よかったです!
ということで、初々しいラブコメと無双のカタルシスを楽しめる素敵なラノベでした。
この1巻では、罰ゲーム期限である1か月よりも前で終わったので、その決着は2巻以降です。
言ってみれば中途半端に終わったにも関わらず、この本の満足感が高いのは、最後の七海ちゃんとお母さんの会話があったからです。
陽信くんの無双と、イチャイチャラブコメですっかり忘れてた「罰ゲームよくない!」問題を、最後にちゃんと回収してくれて嬉しかったです。
お母さんは、七海ちゃんのことを強く叱ったりせず、でもちゃんと「罪悪感」と向き合わせるんですよね。
誠実な物語だなと感動しました!
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