読書感想文:『わたしの幸せな結婚』1巻【書評・ラノベ】

2023年2月3日

『わたしの幸せな結婚』1巻はどんなラノベ?

富士見L文庫公式サイトより引用
あらすじ

幼い頃に母を亡くした美世は、継母と義妹に虐げられて育った。十九になったある日、父に嫁入りを命じられる。相手は、冷酷無慈悲と噂の軍人・清霞だった。

鮪田スコア

82点 ★★★★★★★★☆☆

『わたしの幸せな結婚』1巻を読んでみた!(※ネタばれあり)

「継母と義妹に虐げられていたヒロインが、結婚して幸せになる」

つまり『シンデレラ』です。
「シンデレラストーリー」じゃなくて、まさに「シンデレラ」

子供の頃から知ってる『シンデレラ』ですが、物語構造について深く考えたことは無かったです。
この『わたしの幸せな結婚』を読んで、『シンデレラ』のテンプレって半端ないな!痛感しました。

シンデレラというテンプレのすごさ3つピックアップしてみました。

シンデレラテンプレのすごさ3選

その1: 幸福へのスピード感

シンデレラテンプレは、とにかく早い!
なにせ、幸運が突然向こうからやってくる
努力で窮状を脱する物語と比較して、まどろっこしさゼロ
萌えアニメにおける「美少女が空から降ってくる」状況と同じで、非常にラノベ的です!

その2: 不幸生活とのギャップ

不幸のどん底にいただけに、ヒロインは新生活のちょっとしたことにも幸福を感じます。そのことが読者をほっこりさせます。
大きな幸福じゃなくていいというか、むしろ小さな幸福がいい
些細なことに喜ぶヒロインの慎ましい幸福感にこそ、読者は共感します。
いわゆる「奴隷少女が初めて優しくされた系ギミック」をも内包しているわけです!

その3: 継母たちによる目撃

ヒロインの幸福は、他者に「目撃」される描写があってこそカタルシスを生みます。
読者に最も効果的なカタルシスをもたらす目撃者とは当然、今までヒロインを虐げてきた継母たちです!
ヒロインの幸福を目撃して悔しがる画だけにとどまらず、それを奪おうとする悪あがきさらなる死亡フラグを重ね、立場が逆転して不幸になる構図まで痛快です。
とにかく、悪い奴が地獄を見るってのは酒がすすみますね!(←)

まとめ

『わたしの幸せな結婚』は、最強のシンデレラテンプレに、大正ロマンな世界観合体させるアイデアで、新鮮で力強いカタルシスを生み出しているすごいラノベでした!

嫁ぐ前の噂で、「旦那様は冷酷無慈悲らしい」というタメがあるのも効いてましたね。
「冷酷無慈悲」が、蓋を開けてみれば「イケメンで仕事できて強くてお金持ちないい人」という超ハイスペック優良物件だったギャップが、美世ちゃんにとって、継母たちにとって、それぞれ逆の意味の衝撃になっているのが最高です!
酒がすすむ!(←)