読書感想文:『とってもカワイイ私と付き合ってよ!』1巻【書評・ラノベ】

2023年1月23日

『とってもカワイイ私と付き合ってよ!』1巻はどんなラノベ?

角川スニーカー文庫公式サイトより引用
あらすじ

ぼっちを好む主人公・大和くんが、陽キャの美少女・結朱ちゃんに「恋人のふりをしてほしい」と頼まれて付き合い始める。あくまで期限付きの「偽物カップル」のはずだった二人の関係は少しずつ変化していく。

鮪田スコア

82点 ★★★★★★★★☆☆

『とってもカワイイ私と付き合ってよ!』1巻を読んでみた!(※ネタばれあり)

前回に引き続き「陰キャと美少女」のラノベだけど、これまた全然違って面白いです!

才能あるいろんな作家さんたちが、同じ「陰キャと美少女」というお題で、全然違う面白いお話を生み出してるって考えると感動すら覚えます

ミステリーにおける「密室殺人」のごとく、ラノベにおける「陰キャと美少女」定番にして至高なのです。

さて、この『とってもカワイイ私と付き合ってよ!』は、主人公ヒロインのキャラ造形にそれぞれひと捻りあるのが面白かったです。一人ずつ見ていきましょう。

ヒロインの想像を超える新型ぼっち主人公・大和くん

角川スニーカー文庫公式サイトより引用

前回記事「美少女が凡庸主人公に好意を寄せる3つの理由」を挙げましたが、この『とってもカワイイ私と付き合ってよ!』の主人公・大和くんは、3つのどれにも当てはまりません

大和くんはいわば「ハイスペックぼっち系」です。ぼっちやオタクでありながら実は本気出すと有能という俺ガイルのヒッキーに代表されるタイプで、『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』の主人公などもこれに該当します。正直それはもう「凡庸主人公」と呼べるのか?と思ったので前回記事のパターンからは除外してました。

ハイスペックぼっち系主人公の面白さは、行動がヒロインの想像を超えるところです。[kindle 65%]の知略めぐらすお掃除シーンはわくわくしました!

デレを隠さない新型ウザかわヒロイン・結朱ちゃん

角川スニーカー文庫公式サイトより引用

序盤の印象から、宇崎ちゃんみたいなウザかわ系かな?と思って読み進めてみたら、とってもいい子じゃないですか! いや、宇崎ちゃんだっていい子ですけども!

結朱ちゃんの何がいいって、ふつうのラノベヒロインなら溜め込んでしまいそうなネガティブ要因を、間を置かずにズバッと口にしてネガティブにしないところです。最新型の清々しいヒロインと感じました。

例えば、[kindle 42%]「もしかしてお前、照れてんのか?」に対する一般的なラノベヒロインの反応は「べべべつに照れるわけないじゃないあんたになんか!」だと思うんです。
結朱ちゃん「なんで言葉にしちゃうかな!?」という切り返しには単なるウィットだけじゃないデレを隠さない素直さが内包されていて、新型の可愛さにきゅんきゅんしました。こういう子に憧れます。

[kindle 59%]も好きです。亜紀ちゃんの可愛さを語る大和くんに、「なに彼女に対して他の女の魅力をこれでもかと語ってくれてるのさ!」 このズバッと感ほんと好きです。

主役二人のキャラ造形が、独特の切れ味を生んでいるラノベでした。
私の大学時代に、ちょっとこの結朱ちゃんに似たかんじの友達がいたんです。(いたんですよ大学時代には友達)
思ったことをさくっと口にして溜め込まない子で周りから好かれてて、その子見てて「なるほど言葉って溜め込んじゃうと澱むものかもしれない」と影響され、私も見習おうと同じように発言して場が凍りうんやっぱり何を発言するかじゃなく誰が発言するかだね小さくない犠牲で学んだ在りし日の思い出。(吐血)