読書感想文:『カノジョの妹とキスをした』1巻【書評・ラノベ】
『カノジョの妹とキスをした』1巻はどんなラノベ?
GA文庫公式サイトより引用
親の再婚で義妹ができて、一緒に暮らすことに。恋人と顔がそっくりの義妹だけど、性格は正反対。小悪魔な義妹との同居生活を、恋人に知られるわけにはいかない。
94点 ★★★★★★★★★☆
『カノジョの妹とキスをした』1巻を読んでみた!(※ネタばれあり)
ラノベのタイトルについて考えてみましょう。
たとえば『クラスの大嫌いな女子と結婚することになった』っていうタイトルなら、物語の序盤でクラスの大嫌いな女子と結婚することになって、そこから生まれるドタバタを楽しむ構成になってますよね。
こういうふうに、たいていのラノベは、タイトルが物語の前提に使われてるわけです。
この『カノジョの妹とキスをした』もきっとそういう構造なんだろうなと、読み始める前は思ってました。つまり、主人公にカノジョがいるのにカノジョの妹とキスしちゃったのが騒動の始まりで、そこから始まる三角関係を楽しむお話なんだろうなと。
ところが、このラノベでは、タイトルを前提設定に使ってない。
「カノジョの妹とキスをした」というタイトルは、いわば「タイトルがラストのネタばれ」という仕掛けになっていて、「カノジョの妹とキス」をするのは最後の最後なんですよね。そもそも、時雨ちゃんが「カノジョの妹」であることが判明するのも33%あたりですし。
で、ここがポイントなんですが。
読者はタイトルを見て、この2つの秘密を最初から知っているわけです。
① 時雨ちゃんは、カノジョの妹である
② 主人公は、いずれ時雨ちゃんとキスをする
読者がこの2つを、主人公よりも先に知ってる上で読み進めることによって、物語の状況を、より「いかがわしく」感じられるんですよ。
主人公「彼女ができた」→読者「その妹とキスするんだよね」
主人公「義妹ができた」→読者「彼女の妹なんだよね」
主人公「義妹は彼女の妹だった」→読者「もうすぐキスするんだよね」
何を読んでもいかがわし楽しい!
この背徳的娯楽は中毒になります。
私だって、もっとこう地球環境のこととか大事なことも考えたいんですけど。
今は、この修羅場の覗き見が楽しすぎるからしょうがない。