読書感想文:『くまクマ熊ベアー』19巻【書評・ラノベ】
『くまクマ熊ベアー』19巻はどんなラノベ?
PASH!ブックス公式サイトより引用
和の国に来たユナ。しかし和の国では、強大な魔物・大蛇の封印が破られようとしていた。忍者のシノブ、巫女のサクラ、妖狐のカガリさん、エルフのムムルートさんと協力して、大蛇の復活を阻止せよ。
84点 ★★★★★★★★☆☆
『くまクマ熊ベアー』19巻を読んでみた!(※ネタばれあり)
『ローグ・ワン』ばりの前日譚が熱い
和の国、大蛇エピソード完結編です。
ワイバーンと戦うシノブ、結界を維持するサクラ、それぞれが絶望する描写が凄まじい、熱いバトル巻でした。
そして、巻末の書き下ろしが、ものすごく良かった!
カガリさんと大蛇にまつわる、前日譚です。
まるで、『ローグ・ワン』みたいでした。
『ローグ・ワン』は、『スター・ウォーズ/エピソード4』冒頭のあらすじ部分から作られたんですよね。
あの有名な、文字が奥に流れていくやつです。あれの文中にこうあります。
反乱軍のスパイは、デススターの設計図を盗み出すことに成功した。
この、「デススターの設計図を盗む」という部分を映画にしたのが『ローグ・ワン』で、「デススターの設計図を盗むのってものすごい大変だったんだなー」と実感できる、めちゃくちゃ面白い映画でした。
(↑『ローグ・ワン』レンタルなら数百円です)
この『くまクマ熊ベアー』19巻の書き下ろしも、本編で少しだけ語られた昔話がもとになっています。
本編中に、こんな会話がありました。
「この島には大蛇の4つ頭と胴体をそれぞれ封印しておる」
「5つも封印してるんだ」
「大変じゃった。ムムルートたちが手伝ってくれなかったら、この国は滅んでいた」
言ってみれば、この「大変じゃった」が、どれくらい大変だったのか詳しく描いたのが、書き下ろしの前日譚です。
はたして、読んでみると、とんでもなく大変です。壮絶です。
当時は、ユナちゃんもいなかったわけですし。
カガリさんのこのセリフ、すごい好きです。
「多くの者が死ぬだろう。その姿を心に刻むのがお主の役目じゃ。辛いが、それが国王というものじゃ。目を逸らすな。そうすれば、皆、大蛇と戦って死ねる」
この『くまクマ熊ベアー』の作者さんは、壮絶なシーンでも、あえて淡々というか、センチメンタルになりすぎないように抑えて描写します。
なのに、その朴訥とも言える抑えた描写こそが、染み入ってくるように心を打ちます。
まるで、マイナーコードを使っていないのに泣ける歌のようです。
まとめ
ということで、『くまクマ熊ベアー』19巻の書き下ろしエピソードが熱かったというお話でした。
『ダンまち』や『りゅうおうのおしごと』は、熱く熱いですが、
『くまクマ熊ベアー』は、静かに熱いです。
多様な才能で書かれた熱いラノベがひしめく、ラノベ温暖化時代に生まれて幸せです。